北方領土より大事なもんがどんどんなくなっている

　　駅前を歩いていたら黒塗りのジープに白いペンキで「北方領土奪回」「反共」などペイントしてあるユニークな車を見かけた。言葉のわからない外人が見かけたら「ワンダフルなジャパニーズカー」など思うのかも知れないが、確かに個性あふれる車で公道で恥じらいもなくああいった車に乗る人は勇気あふれる人なのであろう。

　どうせついでだし個性的な彼らの行う演説を聞いていたのだが要約すると「今の教育が乱れているのは日本共産党が悪い」いうことであった。たしかに滝川高校殺人部の写真など見ると「こんな学校には行かせたくないな」「日本の教育もここまで堕ちたか」と感じる。飲酒、暴力、性風俗愛好者（強姦疑惑もあるか）の彼等だけではなく、巷の普通の高校生を見ても、「礼儀悪いな」と思うこともたびたびある。ただ日本共産党がなぜ槍玉にあがるのか。論証抜きに言われても説得力ゼロであると思ったけどね。個性的な街宣車に乗った彼らは「北方領土奪回！天皇陛下万歳」とがんばる高校生がもっと増えてほしいのかな。

　　でもそれは無理があるだろうね。売国奴が誰かと考えると、日本の場合は天皇陛下を守ろうとしていたエ
リート、特権階級やその子孫達であろう。なぜに売国奴かといえば大多数の日本人の消費を台無しにしてるから。日本人ががんばって働いて景気が回復しても、消費はぜんぜん増えていない。若い人の多くは臨時的な雇用に甘んずるのが現実で、がんばって働く場所さえない。だけど投資や雇用は増えている。それは購買力平価で見れば歴史的な円安で、輸出が増えているからであって日本人のための投資ではないし雇用も流動的なものが多く、企業のコアの部分には新卒以外ではなかなか入れない。

　　要するに消費が低迷してる中での好景気の実態は、中国人やアメリカ人が、円安で日本の安い労働力を使って、日本製の良い車に乗って、日本の高級食材を食って、日本の高級旅館に泊まって「日本買い」してるだけ。日本の消費はまず海外旅行でダメージを食う。それだけならいいが世界中で欲しがる石油や金などの稀少な資源が値上がりする。それは日本の国民に跳ね返る。これがなお深刻になれば食料にも及ぶのではなかろうか。今も及びつつあるが。

　　通貨の安い国の経済なんて良いわけないし、少し前の西ドイツ、日本が象徴だが、通貨の強い国は経済も強い。通貨が安いってことは周囲がそれだけの評価しかしていない証拠。米ドルは意図的に下げているので、米ドル換算では円はかなり弱い程度であるが、他各種通貨と比較して世界で円だけ1人負けしているのが現状。そこまでして日本の巨大企業は外に市場を求めないとならないのかと思う。

　　世界でも稀に見る円の実質価値の急速な下落と超低金利を利用して、世界中の外資が日本でビル、道路、レジャー施設、企業など買いあさっている。しかも帳簿や現在の低い収益からはじき出した不当な安値で買って、運用して、日本人から金を巻き上げようとしているようだ。北方領土より日本の象徴的な資産がどんどん買いあさられていること、日本人がコキ使われていることの方がよほど深刻ではないのかな。ここまで弱りなめられている日本。これこそ第二の敗戦と呼ぶにふさわしいと思う。北方領土の価値以上のものがどんどん日本人の手から離れている。

　　円安で儲けが出ている一部の巨大企業。国民に還元できない利益ならそんな円安には反対したいな。