労働意欲はあっても生きる意欲は？

　いろいろいじめ事件も発生しているようだ。日本ではどこの社会でもいじめはある。自分がいじめられない場所を探すのはこれは転々とすればいつか見つけられると思うが、いじめのない場所を探す方は難しいかもしれない。要介護の老人の3人に1人が自殺を考えたことがあるというようで、家庭内にさえいじめがある。

　　これから高齢化が進むので、当たり前だけど老人いじめが深刻になる。日本は働くもの食うべからずなどというところもあるし、いくら老人でも特にまだ働ける65歳までの早期リタイア組の一部には耐え難いきつい先行きが待っているかもしれない。退職金と貯金と年金だけで生きていければ良いのだが、大企業や公務員以外の人にとってはそう簡単にいかないところもあるだろう。その高齢者も高度成長の働かざるもの食うべからずの価値観で育ってきているのでメンタル面で良くないだろうな。
　
　　ところで働かざるもの食うべからずは決して世界の共通の考え方ではない。むしろかなり東アジアローカルな考え方だと見た方がいいと思う。利子を取ることはもちろん蓄財や労働も良くないことだと考えるような宗教、風土も存在する。彼等は金があれば働かない。他人の分け前を掻っ攫うのを得意とする。

　　たとえば日本にある古い建物で外国人を酷使して作ったものは皆無だと思う。外国人にお金を払って技術支援を受けたもの、外国人が勝手に作ったものはあるが、日本人が植民地から大量に奴隷をつれてきて作った建物なんて聞いたことがない。それではローマ帝国はどうだろうか。旧大英帝国の植民地はどうだろうか。奴隷貿易はどうだろうか。ローマはローマ市民とされなかった人を酷使して作ったものだし、北米南米の開拓に多数の黒人奴隷がかかわってきたのも常識であろう。他国の領土を暴力で支配して強奪するのも当たり前。日本ほど他に寄生しないで国家を作った国は稀少ではないか。日本は奴隷貿易に手を出していないし、植民地確保もブロック経済の中で本当に生命線的な要素が強かったと考える。

　　たとえば戦前なら寄生虫とされた不動産の転売や政治家への寄生、金融行為などのブローカーの類の仕事は今は多くの会社も手を出しているしそれは非難されないが、それでも今でも労働していないことへの風当たりの強さは他の国以上である。
　　
　　かといって日本が豊かかといえば首都圏の住宅事情や苛酷な労働環境を考えれば世界では労働者平均の豊かさを考えると中の上か上の下ぐらいではないか？家庭や幸福を犠牲にし勉強や労働に費やしている分量を考えるといかに考えるか。一番豊かなのは中東の産油国かな。ここは国民は座ってする仕事しかしないし、ノルマに追われるような仕事もしない。日本で言えば「みんながやりたがる仕事」給与が良くて肉体的精神的に楽な仕事だけにつく。そうではない仕事は出稼ぎの労働者がする。現場だけではなく普通の営利企業のホワイトカラーもフィリピンなどからの出稼ぎ者が多い。安い労働力で経済をまわして、アラビア人は上前を取っている。イタリアのように寝ていれば観光収入が入ってくる。安物のバッグにロゴをつければとんでもない付加価値のつく国もある。

　　いずれにせよ人間は必要なものを得るために働かないとならない人が多いだけで労働が美徳という考えは世界標準ではない。外資のやってることをみれば立証されているが。

　何度もいうが学んだり仕事をしても生活がなければそんなの生きてるうちに入らないだろう。世界では日本人は働きすぎの馬鹿ぐらいに思われているところもあるかもな。ウサギ小屋を買うために満員電車に揺られて毎朝毎晩痛勤して滅私奉公するのが日本人の幸せなのかな。